知る楽しみ 復活したホンダのDNA。操る喜びを体感できるスポーティなクルマ【ホンダ・シビック】
  • 知る楽しみ
  • 2017.12.12

復活したホンダのDNA。操る喜びを体感できるスポーティなクルマ【ホンダ・シビック】

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“名車”と呼ばれるクルマのなかには、現在進行形で歴史を築いているものもあれば、かつての栄光が讃えられたものもあり、現在では販売を終了している名車もたくさんあります。「ホンダ・シビック」は、まさにその中間の存在。

1972年のデビュー以降、実用性と走りを両立したシビックはコンパクトでスポーティなクルマとして支持されました。しかし、海外での評価は相変わらず高かったものの、国内では2010年に販売を終了しています。

そんなシビックが2017年、再び国内市場に姿を現しました。そして、ホンダが提案したいことを凝縮したという新型シビックは、予想以上の好スタートを切っています。

今後にも期待がかかる名車・シビックは、いったいどんな道を歩んできたのでしょうか。

出典(表紙):ホンダ CIVIC HATCHBACK
(http://www.honda.co.jp/CIVICHATCHBACK/webcatalog/styling/design/)より

日常の使いやすさを重視。シビックの誕生

出典:ホンダ CIVIC HATCHBACK(http://www.honda.co.jp/CIVICHATCHBACK/webcatalog/styling/design/)より

出典:ホンダ CIVIC HATCHBACK
(http://www.honda.co.jp/CIVICHATCHBACK/webcatalog/styling/design/)より

civicとは「市民の・公民の・都市の」という意味の言葉。初代ホンダ・シビックは、その言葉が示すとおり“あらゆる人々のくるま、世界のベイシック・カー”というコンセプトを掲げて1972年に誕生しました。

目指したものは、さまざまな人にとって使いやすいクルマ。日常において、クルマ本来の移動という機能をしっかりと果たすようなモデルとして開発されました。

初代シビックは、全長3.5メートルというコンパクトボディーと2ボックススタイルが特徴的です。メカニズムについては、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)駆動というのも革新的でした。

当時の日本では3ボックスセダンが主流だったため、小さく魅力が凝縮されたようなシビックは、まさに日常のさまざまなシーンで使いやすいクルマとなったのです。

またシビックは、開発の段階から世界の自動車市場で販売をすることを前提に作られ、その思惑通り、実際に海外の自動車市場へインパクトを与えたことも名車たる所以です。

外国車と比べると、当時の日本車はあまり性能が良いとは言えませんでしたが、そんななかで大成功を収めたのがシビック。結果的に、“コンパクトかつ経済的で堅実”という現在でも続く日本車のイメージを築き上げることとなりました。

▼初代シビック

出典:ホンダ Sports Drive Web(http://www.honda.co.jp/sportscar/spirit-sdw2/manager01/)より

出典:ホンダ Sports Drive Web
(http://www.honda.co.jp/sportscar/spirit-sdw2/manager01/)より

シビックを語るうえでは「M・M(マン・マキシマム/メカ・ミニマム)思想」も欠かせません。

M・M思想とは、人間のための空間を最大限にし、機械のスペースは最小限にする、という設計の考え方です。1967年にホンダが軽自動車N360を発売したときから今に至るまで、ホンダのクルマ作りの根本にはこの哲学が存在しています。

そんなM・M思想が明確に提唱されるようになったのが、ちょうど3代目シビック(通称・ワンダーシビック)が発売された1983年頃。コンパクトでありながら居住空間が最大限に確保されるよう作られてきたシビックは、まさにM・M思想にもとづくユーザーファーストの理念を如実に表しているのです。

また3代目シビックは、それ以前のモデルからデザインやメカニズムを大きく進化させ、“走る・曲がる・止まる”というクルマの基本性能を向上。ホンダ初の日本カーオブザイヤーを受賞するとともに、自動車初となるグッドデザイン大賞にも輝きました。

クルマ好きを魅了する“ホットハッチ”

出典:ホンダ CIVIC TYPE R(http://www.honda.co.jp/CIVICTYPE-R/webcatalog/styling/design/)より

出典:ホンダ CIVIC TYPE R
(http://www.honda.co.jp/CIVICTYPE-R/webcatalog/styling/design/)より

シビックは「ホットハッチ」としても有名です。ホットハッチとは一般的に、大衆車をベースとしたコンパクトかつスポーティなクルマのことを指し、欧州などで特に人気のあるジャンルです。

そもそも誰もが使いやすい大衆的なクルマとして開発されたシビックですが、進化の過程において、“走り”を追求したモデルがクルマ好きからの熱い支持を得ました。

そのきっかけとなったのも3代目シビックです。1984年、国際的にも評価の高かったバラードシリーズに小型で高性能なDOHCエンジンを搭載した「シビックSi」が発売。

F1レースでホンダが培ってきた技術をもとに開発されたエンジンを搭載したそのシビックは、全日本ツーリングカー選手権で好成績を収めるなど、スポーティなイメージを確立させていきます。

さらに1995年に発売された6代目シビック(通称・ミラクルシビック)では、CVTミッション(=無段変速機)を初めて採用するなど、クルマの基本性能を徹底進化させます。

CVTミッションとは、ATのように自動変速でありながらギアに段がないもので、加速がスムーズで燃費も良いのが特徴です。燃費・パワーを両立することができるため、現在においては多くのコンパクトカーで採用されています。

そして1997年には、軽量かつ剛性を強化したボディや徹底的に固められた足回りを備えた「シビック タイプR」が登場し、レーシングカー顔負けの性能を誇るクルマへと進化を遂げました。

▼シビック タイプR

出典:ホンダ 名車図鑑(http://www.honda.co.jp/hondafan/meisha/)より

出典:ホンダ 名車図鑑(http://www.honda.co.jp/hondafan/meisha/)より

このように走りがひとつの魅力としてヒットしたシビックですが、2000年発売の7代目(通称・スマートシビック)では、スポーティなイメージから離れます。

5ドアハッチバックとセダンタイプ(フェリオ)というラインナップになり、代表的であった3ドアモデルが廃止。ワイド&ローのスポーティなスタイルではなく、トールワゴンのようなモデルに変貌しました。

さらに2005年の8代目においては、3ナンバーサイズのセダンのみで販売スタートとなります(2007年にはタイプRが追加)。このようにしてシビックは進化するなかで徐々に大型化し、コンパクトカーとしての立ち位置は同社のフィットに移る形となりました。

海外で高評価。環境に優しいクルマ

出典:ホンダ CIVIC SEDAN(http://www.honda.co.jp/CIVICSEDAN/webcatalog/styling/design/)より

出典:ホンダ CIVIC SEDAN
(http://www.honda.co.jp/CIVICSEDAN/webcatalog/styling/design/)より

シビックは2010年に国内での販売を終了しましたが、海外で根強く支持されるクルマになっており、2011年には北米、2012年には欧州向けの9代目を発売しています。

その背景には“環境に優しいクルマ”としての強いイメージがあるようです。

1972年、初代シビックはアメリカで制定された排ガス規制「マスキー法(1970年)」を世界で初めてクリア。当時、マスキー法は技術的にクリア不可能とまで言われていたため、シビックは世界から注目を浴びることとなりました。

また6代目のミラクルシビック(1995年)においては、上述したCVTミッションや高出力で低燃費のVTECエンジンによって、優れた走行性能と環境性能の両立を実現。アメリカで発売した低燃費グレード車「シビックHX」は、世界一厳しいカリフォルニア州のTLEV(=過渡的低公害車。カリフォルニアの排ガス規制でもっとも厳しい)基準をクリアするに至っています。

このように、ホンダは世間の環境に対する意識があまり高くない頃から環境技術に注力しており、シビックはその代表車種として、その時代ごとの低公害・低燃費の牽引役となってきたのです。

そんな歴史を歩んできたシビックですが、2017年10〜11月に開催された「東京モーターショー2017」でホンダが出展したEV(電気自動車)のコンセプトモデルにも、その片鱗を見せています。

▼東京モーターショー2017で出展されたコンセプトモデル

HondaスモールカーのDNAである“キビキビした走りの楽しさ”と“愛着を感じる親しみやすさ”をシンプルかつアイコニックに表現

引用:Honda Urban EV Concept
(http://www.honda.co.jp/motorshow/2017/detail/002/)より

と発表されたホンダのEVモデル「Urban EV Concept」。台形に近いボディや丸いヘッドライト、リアウィンドウなど、初代シビックを彷彿とさせるデザインとなっています。

国内では「ホットハッチのシビックがどうしてEVのモデルに?」という意見もあったようですが、これは特に海外における“環境に優しいクルマ”としてのシビックの実績や根強いイメージが反映されていると言えるでしょう。

「操る喜び」を。シビックの復活

出典:ホンダNEW CIVIC(http://www.honda.co.jp/CIVIC/)より

出典:ホンダNEW CIVIC(http://www.honda.co.jp/CIVIC/)より

クルマ好きの熱い支持を得たホンダの看板車種・シビックは、一度は国内市場から姿を消したものの、2017年9月に10代目となる新型を引っさげて日本に復活しました。

実のところ、9代目に続いて10代目も国内での販売は考えていなかったと言います。しかし2015年にアメリカで発売されて以降、2016年には北米カーオブザイヤーを受賞するなど、海外での好評を受けて国内の発売が決定したとのこと。

新型シビックのラインナップは4ドアセダンと5ドアハッチバック、スポーツモデルのタイプRの3車種。走りを極めたタイプRはもちろん、いずれも「操る喜び」を感じられるスポーティなクルマとなっています。

8・9代目などはトールワゴンのようなスタイルでしたが、新型はかつてのイメージに近いワイド&ロー。3車種とも共通しているヒップポイント(地面から腰までの高さ)の低さも、魅力のひとつです。

発売から数ヶ月が経ちましたが、受注台数は予想を上回る結果となっています。また、国内市場において異例と言えるほど“MT車”が人気であることも見逃せないポイント。コンセプトに違わず、「操る喜び」を求める人にぴったりなクルマになっているようです。

▼ONE OK ROCKと庵野秀明が共演した新型シビックのCM

ホンダのこだわりが凝縮されたクルマ

ホンダの精神を象徴するクルマとして発展してきたホンダ・シビック。1972年の発売からMM思想や環境意識などを積極的に取り込み、実用性と走りを両立したクルマとして親しまれてきました。

海外での功績を残しながら国内では販売終了をも経験したシビックは、これからどんな歴史を築いていくのでしょうか。操る喜びを最大限に感じられるクルマとして、今後も期待が高まります。

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