知る楽しみ デザイン一筋26年―。洗練された”ALPINE DESIGN”を生み出す、匠のこだわり
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  • 2017.02.03

デザイン一筋26年―。洗練された”ALPINE DESIGN”を生み出す、匠のこだわり

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カーナビ・カーオーディオの高級ブランドとして確固たる地位を築いている、アルパイン。洗練されたラインナップを揃える同社のデザイン担当として、遠藤秀樹さんは長年、その手腕を振るってきました。

そして昨年、遠藤さんが手がけたリアビジョン「PXH12X-R-B」がJIDAデザインミュージアムセレクションVol.18に選定されました。

今回はそんな遠藤さんに、洗練されたデザインの秘密やこだわりを聞いてきました。

プロフィール
遠藤 秀樹(えんどう ひでき) 多摩美術大学 立体デザイン専攻卒業
1990年に新卒でアルパイン株式会社に入社。2017年時点で入社26年目になる。現在はアルパインにおけるほぼすべての市販商品のデザインに関わっている。

あのデザインはこうして生まれた!匠が掲げる2つのこだわりとは?

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-最初に、アルパインへの入社の経緯を教えてください。

学生時代に、友人に紹介された広告代理店を通してアルパインから、あるクルマの予想イラストを描くアルバイトをしていました。
 
それが縁で、大学卒業後に新卒でアルパインに入社しました。もともとクルマやオーディオが好きだったこともあったので。

-初めからデザイナー志望だったのでしょうか?

そうですね。デザインを担当する職としてアルパインに入社しました。
 
大学もプロダクトデザイン系の学部を卒業しているので、自分のやりたいこととマッチしていたんです。

-最初にデザイナーを志したのはいつだったのですか?

小さいころからクルマなど乗り物の絵を書くのが好きで、よく絵を描いて「こういうのを作ってみたい」というような構想を膨らませていましたね。
 
ずっと絵やデザインに関心があったことから美大に進み、本格的にデザインについて学びました。
 
小さい時のことを振り返ると、ものづくりやデザインにはずっと興味があったのだと思います。

-デザインする上でこだわりや、大切にしていることなどがあれば教えてください。

こだわっているのは「一目惚れデザイン」であること、そして「アルパインらしさ」の2点です。

-「一目惚れデザイン」と「アルパインらしさ」、ですか。ひとつずつその秘密を教えてください。

「一目惚れデザイン」とはつまり、パッと見た瞬間にかっこいいと感じ、惹きつけられるデザインのこと。
 
例えば、ガラス照光キー。
 
これは伝統的に採用されているという点で「アルパインらしさ」につながりますが、クルマの中でひときわ目立つキーをどこに配置するか、一目で見た時にかっこいいと思えるかなど、徹底的に考え抜きます。
 
denki
 
shoukoukeyup(ガラス照光キー(青く光る四角いボタン))
 
そして「アルパインらしさ」とは、アルパインが製品に対して持っているこだわりです。
 
「エレガントさ」「シャープさ」そして「インテリジェンス」といった、知的で上品な印象も受けてもらえるようなデザインを心がけています。

-数々の名作はそのふたつのこだわりからできているのですね。ほかに、実際の作業でこだわっていること、必ずやっていることはありますか?

最初にデザインを考えるときは必ず「手で」描きます。
 
デザインを完成させる過程では、PCの描画ツール、3D CADや3Dプリンターといったさまざまな技術を使いますが、いきなりPCの描画ツールで描き始めても、瞬間的に思いついたアイデアを素早くイメージに反映させることができないんです。
 
そうした理由から、最初のイメージは手で描くのはもちろん、デザインを作る過程でも必要に応じて手で作業しています。
 
先ほどご説明した「一目惚れデザイン」を大切にすると、直感的な印象であったり、思い入れがすごく大事なんです。
 
ふと思いついたアイデアを再現するには、やはり手による作業は欠かせません。

クルマという空間に溶け込むインテリアとして、カーオーディオを作りたい。新卒時代から現在まで変わらない思い

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-これまで数え切れないほどの作品をつくり上げてきた遠藤さんですが、自分史上最高に完成度が高い製品、または気に入っている製品はありますか?

それぞれ思い入れがあり、すべて全力で作ってきたので、どれが一番ということはないですね(笑)。
 
ただし、新商品をデザインする際には常に新しいものを探求し、過去に作った商品を超えられるよう努めています。

-なるほど、常に自己ベストを更新できるように仕事に取り組んでいるのですね。では、これまで長年お仕事をされてきた中で、もっとも思い入れが深い仕事はどんなお仕事ですか?

個人的に思い出深いのは、新卒2年目に、あるクルマ会社向けにカーオーディオを提案したときのことですね。
 
自らがデザインしたカーオーディオをプレゼンしたところ、先方の役員からとても良い評価をいただくことができたんです。

-大手自動車メーカーの 役員を新卒2年目で唸らせるとはすごいですね。当時を振り返って、なぜ評価されたと思いますか?

そのとき、私がコンセプトとしたのは「クルマのインテリアに溶け込むカーオーディオを作る」ということでした。
 
オーディオとしての機能性だけではなく、クルマのインテリアと調和させながら、デザイン性に主張を持たせたんです。
 
というのも当時のカーオーディオは、ただ単にクルマにはめ込まれているだけというものが多かったんですね。
 
クルマ全体のインテリアからすると、マッチしておらずそこだけ浮いている印象がありました。
 
そこで私は、クルマに溶け込むカーオーディオのデザインを提案したのです。その結果、高い評価をいただくことができました。
 
クルマとオーディオが好きな私だからこそ、デザインすることができたのかもしれません。それが今の製品デザインにもつながったんだと思います。

JIDA(遠藤さんがデザインしたリアビジョン「PXH12X-R-B」)

-そして昨年、JIDAデザインミュージアムセレクションvol.18に遠藤さんがデザインしたリアビジョン「PXH12X-R-B」が選出されたんですよね。

はい。こちらも先程の作品と同じく、クルマの中に溶け込むインテリアをイメージしました。
 
インテリアとしての調和はもちろん、プレミアムな高級感を感じられるようにデザインしました。
 
20170123 007_Fotor(授賞式の様子)
 
20170123 012_Fotor(トロフィー)

-こちらの作品も「一目惚れデザイン」がキーワードなのでしょうか?

そうですね。
 
一目でかっこいいと思ってもらえるデザインはもちろん、高画質な映像と車内の空気清浄ができるプラズマクラスターも内蔵しています。

-見た目はもちろん機能面もとても充実しているんですね。

はい、今後もこうした一目惚れされるデザイン、愛着を持って使用してもらえるデザインを追求していきたいですね。

”ALPINE DESIGN”はデザインへの強い想いとマイケル・ジャクソンから生まれた?知られざる匠の私生活に迫る!

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-ここからは遠藤さんのプライベートについてお伺いします。プライベートで「これは職業病だなぁ」と思ったことはありますか?

クルマのショールームや家電量販店に足を運ぶのが好きなんです。
 
たくさんの商品を一度に見ることができるので、どんなメーカーがどんなデザインをしているのかというのを見て回っていますね。
 
日ごろから、刺激を受けています。

-具体的に、商品のどういったところを見ているのですか?

まず、印象に残りやすいのがフォルム。
 
それから、質感やラインです。とはいえ、全体とディティールのバランスも重要になります。
 
そうした観点から、緻密にデザインされている時計や、おしゃれなファッションアイテムなどを見るのも好きですね。
 
やはりデザイナーとして、美しいものやかっこいいものには常に触れていたいと思っています。

-趣味や好きなことを教えてください。また、趣味や好きなことが仕事にも活きているなと感じることはありますか?

趣味は音楽鑑賞、というより、マイケル・ジャクソンですね(笑)。
 彼が好きすぎて、ライブには30回以上行っていました。
 
日本公演のみならず、ニューヨークに足を運んでライブを観に行ったこともありましたね。
 
また、彼の魅力は、肌の色も、国籍も年齢も性別も関係なく、見る人を感動させるところにあると思います。
 
その源は、すごい想像力にあると思っていて、常に新しいものを作っていく姿勢をこれからもまねしていきたいと考えています。
 
デザインについても、突き詰めれば見る人の属性に関係なく、感動を生み出すことができる力を持っていると思います。

カーナビ・カーオーディオにとどまらず、クルマ全体に”ALPINE DESIGN”を!

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-遠藤さんにとって、どんなところにお仕事の楽しみややりがいがあるのでしょうか?

「世の中にないものを作る」ことにモチベーションを感じます。
 
革新的な、まったく新しいことをやるのはとても難しいですし、技術要件の制約上できないこともあります。
 
でも、「一目惚れデザイン」というテーマの中で、常に心を惹きつけて、感動を生むデザインに挑戦していくことが楽しみのひとつです。

-最後に、今後の目標について教えてください。

よりデザインの幅を広げていきたいと思っています。
 
というのも先日行われたオートサロンでは、アルパインは”ALPINE STYLE”として、クルマ1台を外観を含めてデザインすることになりました。私も参画し、クルマのシートカバーを担当しました。
 
その過程の中で、外装を含めもっと広い範囲のデザインをしてみたいと思っていました。
 
カーナビ、リアビジョンやオーディオを含めたインテリアデザインのトータルコーディネートだけでなく、クルマそのものを”ALPINE STYLE”としてデザインをすることが目標です。

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デザイン担当チームがみんなで作ったという、『ALPINE DESIGN』の文字があしらわれたトラックジャケット。遠藤さんを中心とした、アルパインデザインチームの絆の強さを象徴するものです。

私たちは普段あらゆる商品に囲まれ、目にしながら生活しています。そのひとつひとつに、デザイナーの思いがこもっていることを知ると、胸を熱くせずにはいられません。

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